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2023.04.03
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時間外業務の要因を探り改善しワーク・ライフ・バランスを実現

組織の時間管理・成功事例

時間外業務の要因を探り改善しワーク・ライフ・バランスを実現

 

編集部より

「ナーシングビジネス」2021年12月号「組織の時間管理・成功事例①」より抜粋。「時間外業務の要因を探り改善しワーク・ライフ・バランスを実現」をご紹介します。

 

社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス 東埼玉総合病院 

副看護部長 兼 外来科長 加藤加澄(かとうかすみ)

2000 年東埼玉総合病院入職。2008 年より外科病棟科長。2021 年7 月より現職。

    

時間外業務が発生する背景に、「患者により良い看護を提供したい」「周りのスタッフに負担をかけたくない」などといった原因がありました。その課題を解決するために取り組んだ施策の実際を紹介します。

目次

  1. 看護の現場から考えるワーク・ライフ・バランス
  2. 始業前残業を減らす取り組み
  3. 委員会の再編と委員の削減
  4. 院内全体での取り組み
  5. 年度別残業時間の推移

 

看護の現場から考えるワーク・ライフ・バランス

社会医療法人ジャパンメディカルアライアンス 東埼玉総合病院(以下、当院)〔表 -01〕は、埼玉県、神奈川県、静岡県において保健・医療・介護サービスを提供する JMA グループに属しています。

 

表-01

 

救急医療面でも地域での需要が高く、病床数はHCU4床、SCU6床を含む173床、2021年12月にさらに16床が増床される計画が進んでいます。看護部については、勤続年数が長い職員も多く、新卒者から子育て世代、子育てが一段落した世代と幅広い年代が日々看護に携わっています。

 

また、看護部では以前から「健康で長く働き続けられる環境づくり」について考えてきました。2014年には日本看護協会のワーク・ライフ・バランス事業に取り組み、その結果、いくつかの課題を見出しました。中でも重要視されたのは時間管理に関するもので、たとえば「始業前残業が多い」「委員会活動での持ち帰り仕事が多い」といった理由から残業時間が増えるという意見でした。そこで、時間管理に関する取り組み〔表-02〕を検討しました。

 

表-02 

始業前残業を減らす取り組み

■患者の情報収集の時間を削減する

始業前残業となる内容について調査したところ、①情報収集 ②点滴準備 ③同僚・先輩への気遣い ④内服薬確認などが原因として挙げられました〔表-03〕。

 

表-03

 

中でも「情報収集」に最も時間を要するという結果でした。それまで情報収集は、自身でノートを準備し、日々の患者情報を転記していました。そのため個人で収集する情報にもばらつきがあり、転記・まとめに30分を要するスタッフもいました。

 

そこで、電子カルテのワークシートを受け持ちの部屋の分だけ印刷して活用することにしました。これまでは個人情報保護の観点(ワークシートを持ち歩くことで起こり得る病室への置き忘れや紛失などのリスク回避)から、ワークシートをスタッフステーション内から持ち出すことを禁止していました。しかし今回の課題の解決のために、管理を徹底する(業務終了時にワークシートはリーダー看護師へ返却する)ことで、ワークシートの持ち出しを可能とし、情報収集時間の短縮につなげました。情報収集に関わる時間は月平均で一人あたり19分削減できました。その概要を図-01、図-02に記します。

 

図1

 

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