メディカルサポネットは、医療機関や保険薬局、介護施設の経営者、事務長、看護部長、管理部門の皆さまに向けた経営・採用支援サイトです。経営・人事・採用に役立つノウハウ情報が満載です。

Powered by

2022.12.09
5

看護管理者が知っておきたい転職者・復職者の教育支援Q&A

特集 孤立させない&即戦力に育てる 転職者・復職者の教育支援Q&A

看護管理者が知っておきたい転職者・復職者の教育支援Q&A

 

編集部より

「ナーシングビジネス」2022年5月号「特集 孤立させない&即戦力に育てる 転職者・復職者の教育支援Q&A」より抜粋。「看護管理者が知っておきたい転職者・復職者の教育支援Q&A」をご紹介します。

 

田中 智恵子(たなか・ちえこ)

株式会社メディカルクリエイト コンサルタント

看護の現場経験から新たなコンサルティングの視点を提供。看護協会、病院などの新人研修、中堅者研修では、実践的な課題解決型の研修を実施している。東京保健医療専門職大学特任教授、明治大学グローバルビジネス研究科講師、石川県立看護大学非常勤講師、元大阪市立大学経営学研究科特任准教授、東京大学大学院医学系研究科修士課程修了。

    

転職者・復職者がスムーズに職場に順応するには、どのような支援が必要でしょうか。看護師でありコンサルタントでもある筆者が、看護現場から寄せられる代表的な質問に答えます。

 

質問1.

最近転職してきたスタッフなのですが、前職のやり方にこだわりがあるようです。こちらのやり方を理解してもらいつつ、これまでのやり方をうまく活かしてもらう方法はないでしょうか。

回答1.

「守破離(しゅはり)」のステップを、入職前にしっかりと理解してもらいましょう。 

転職者・復職者の採用には、採用後に即戦力として活躍してもらいたいという期待が込められています。そのためには、採用した人材が持つ能力を最大限に発揮してもらうことが大切です。すなわち、前職での経験を新たな職場でどのように活かしてもらうかを考えることは、マネジメント職にとって大きな課題といえます。

 

ここで留意すべきは、それぞれの施設ごとにヒトやモノといったリソースが異なり、組織に合った仕事の進め方があるということです。また、仕事の進め方は進化していくものだという点にも留意しておかなければいけません。採用したスタッフが提案してくれる仕事の進め方が、現在の職場にマッチするものばかりとは限りませんし、一方で従来のやり方がいつの時代もベストというわけでもないのです。つまり、転職者・復職者と既存スタッフ双方の知識と経験を活かしたマネジメントが重要になります。

 

具体的な場面をあげて考えてみましょう。転職者・復職者が、自身の経験や知識と新たな職場との間でギャップを感じたとします。このとき、「えー、まだそんなやり方をしているんですか?」「これは看護師のやる仕事ではないですよ」など、さも自分の経験や知識が金科玉条のごとく言ってしまったとします。これは既存のスタッフにとって気分のよいことではありません。

 

このような事態を避けながら前職の知識・経験を活かしてもらうためのポイントは、入職前にしっかりと改善のステップを踏むことです。ある程度の経験を持ったうえで転職・復職する人は、新たな職場で即戦力になって貢献したいという思いを持ち、張り切って入職してくれます。しかし、「知識・経験を活かしたい」という思いが裏目に出てしまうことがあるのです。そこで、知識・経験に対する考え方を事前に修正しておきます。具体的には「配属先の部署が、あなたの経験したことより古いやり方、非効率なやり方をしていたらどうしますか?」と聞いてみます。答えは相手によってさまざまですが、話し合いの着地点として、「まずは既存のやり方でやってみる」ということを理解してもらいましょう。

     

物事を学び、習得するときの基本的な姿勢や取り組みのステップとして、「守破離(しゅはり)」という言葉がよく使われます〔図-01〕。「守破離」はもともとは武道や茶道を学ぶ姿勢を示したものですが、それら以外の分野でも広く使われるようになっています。この言葉が示すように、どんなに経験のある人でもまずは「守」から入ることが重要だと伝え、理解してもらっておくとよいでしょう。

       

  
質問2.

自病棟の離職率が高くて悩んでいます。離職を察知する方法や離職を防止するための早期介入はありますか?

回答2.

「話して放す」場を設けましょう。

日本看護協会の調査によると、2019 年度の看護師の離職率は、正規雇用看護職員が 11.5%、新卒採用者が8.6%、既卒採用者が16.4% でした1)〔図-02〕。この数字は近年、同様の傾向が続いています。厚生労働省の「2019 年(令和元年)雇用動向調査」によると2019 年の一般労働者の離職率は11.4% と報告されているので、看護師の離職率は社会全体の水準とほぼ同じといえそうです3)。ちなみに業種別にみると宿泊業、飲食サービス業が33.6% と高く、複合サービス事業(郵便事業、銀行窓口業務、保険窓口業務など)は7.9% と低いです3)

  

看護師の離職率は世の中の平均並みであるといっても、都心部や中小病院での離職率が高いと報告されています。言うまでもなく、離職をできるだけ抑えることは喫緊の課題なのです。

会員登録されている方のみ続きをお読みいただけます。

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP