メディカルサポネットは、医療機関や保険薬局、介護施設の経営者、事務長、看護部長、管理部門の皆さまに向けた経営・採用支援サイトです。経営・人事・採用に役立つノウハウ情報が満載です。

Powered by

2023.09.06
3

■NEWS【ESC報告】年2回注射型LDL-C低下薬「インクリシラン」の6年間有効性・安全性が明らかに―観察研究 "ORION-8"

メディカルサポネット 編集部からのコメント

日本でも近々製造承認が見込まれる「年2回注射型LDL-C低下剤」インクリシラン(ノバルティスのLeqvioが有名)。悪玉コレステロールの値を下げ、スタチン療法を補完する役割が期待されていますが、その効果と安全性が、米国メイヨークリニックのR. Scott Wright氏により欧州心臓病学会(ESC)学術集会で報告されました。

      

わが国でも近々製造承認が見込まれる「年2回注射型LDL-C低下剤」インクリシランによる長期成績が、8月25日からアムステルダム(オランダ)で開催された欧州心臓病学会(ESC)学術集会において、R. Scott Wright氏(メイヨークリニック、米国)により "ORION-8"として報告された。6年継続使用後もLDL-C低下作用は減弱せず、新たな安全性の懸念も生じなかった。インクリシランは肝mRNAへの干渉を介し、PCSK9合成を阻害。その結果、LDL-Cが低下する。初回投与、初回投与3カ月後、それ以降は6カ月ごとの皮下注で済む。

  

【対象と方法】

 

解析対象は、インクリシランを用いたランダム化比較試験に参加した3275例中(含プラセボ群)、全例インクリシラン服用のオープンラベル観察研究に参加した3274例である。CV高リスク(±アテローム動脈硬化性心血管疾患 [ASCVD] 既往例(ORION-1311)、ASCVD例(ORION-10)、ヘテロ接合型家族性高コレステロール血症例(ORION-9)が含まれる。いずれも最大用量のスタチン服用下でLDL-C低下不十分、またはスタチン不忍容例である。

  

平均年齢は64.9歳で、65歳以上が 56.5%を占めた。男性の割合が67.7%、82.7%が ASCVD既往例だった。

 

脂質低下薬非服用は6.8%のみ。93.2%がスタチンを服用、16.6%がエゼチミブを服用していた(重複あり)。

  

インクリシラン使用期間は平均で3.70年、中央値が3.27年、最長で6.84年だった。

  

これら3275例を対象にインクリシラン使用時の LDL-C値と安全性を検討した。

  

【結果】

  

・有効性

  

 LDL-C目標値達成率は6年間使用後も79.1%で、使用開始90日後の74.6%と同等だった。

  

 ASCVD例(LDL -C目標値「<70mg/dL」)のみでも79.4%、非ASCVD高リスク例(同「<100mg/dL」)は74.3%だった。

  

LDL-C値低下幅も同様に経時的な減少は見られず、使用開始90日後に観察された約50%の低下幅が6年後まで維持された。

  

・安全性

  

薬剤関連有害事象は9.1%に見られたが、使用停止に至る有害事象発現率は2.4%のみだった。

 

薬剤関連有害事象で多かったのはやはり「注射部位反応」(5.4%)で、「肝イベント」(0.3%)、「糖尿病発症・増悪」(1.1%)はまれだった。

 

なお、 5.1%で抗薬物抗体が出現したが、 抗体の有無はインクリシランによるLDL-C低下作用や有害事象リスクに影響を与えていなかった。

 

一連のORION試験はMedicines Companyからの資金提供を受け実施されている。

                

<PR>マイナビの医療介護関連人材紹介サービス問合せはこちら   

      

 出典:Web医事新報

  

メディカルサポネットの

"オリジナル記事"が読み放題・

"採用に役立つ書類"のダウンロードも

   

ログイン(既に会員の方)

  •  採用のご相談や各種お問合せ・資料請求はこちら【無料】

この記事を評価する

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

TOP