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2023.08.01
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【識者の眼】「学会理事選挙へのクオータ制導入」草場鉄周

メディカルサポネット 編集部からのコメント

日本プライマリ・ケア連合学会理事長の草場鉄周さんが、学会の理事選挙に、男性または女性の比率が25%、医師以外の職種が10%という制度を導入しました。

選挙制度の簡便化と、学会員の構成比率に近い意見の反映をはかった形です。

                                       

私が理事長を務める日本プライマリ・ケア連合学会の社員総会が6月11日に開催され、理事選挙におけるクオータ制導入が承認された。男性あるいは女性の比率がそれぞれ25%以上、そして医師以外の職種が10%以上になることがその内容である。もともと全国区、地方区から2回に分けて選挙する複雑な仕組みであったため、その制度設計には知恵と工夫を要したが、結果的に理想的な選挙制度になった。今年の秋からスタートする選挙プロセスで早速実施される予定である。

  

日本医学会連合でもたびたび話題になるように、男女共同参画がかなり遅れている日本の中でも、医学会はさらにその歩みは遅く、106学会が回答した2018(平成30)年の調査では、医師に限定すると女性の理事長は0名、理事における女性の比率は6.2%に過ぎない。学会員における女性の比率の平均が18.3%であることを考えるとその低さは明らかである。以前より女性医師の活動も盛んな当学会は、現在でも女性の理事が20%程度を占めている。しかし、少なくとも会員における女性比率(24.3%)を上回るように、今回25%以上という数字を設定した。

     

また、当学会内では10%程度の医師以外の専門職が会員として活躍しているが、選挙で選出される医師以外の専門職の理事は1〜2名程度(理事の定数は39名)であり、この点が問題となっていた。真の意味での多職種協働においては学会運営への参画も不可欠であると考え、10%以上という数字を決定した。チームとしてのプライマリ・ケアを推進することにつながることを期待している。

   

自分自身の周辺を見回してみても、女性の院長や理事長の少なさ、そして、医師会における女性役員の少なさなど、医療界全体でも男女共同参画はまだまだ遅れていると痛感する。先日函館で開催された日本消化器外科学会総会のシンポジウムにおいて、学会理事長自らが消化器外科領域での女性医師の活躍への期待を述べ、男女共同参画への決意を示す「函館宣言」が発出されたようだ。本当に素晴らしい動きである。

  

今後さらに増えていく女性医師がその能力を発揮し、意欲的に活躍できるよう環境を整えることが今私たちには求められている。その1つの有力な方策として、多くの学会や医療組織でも役員のクオータ制が進むように期待している。

  

草場鉄周(日本プライマリ・ケア連合学会理事長、医療法人北海道家庭医療学センター理事長)[総合診療/家庭医療]

     

   

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 出典:Web医事新報

  

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