メディカルサポネット 編集部からのコメント厚生労働省による消費税率8%への引き上げに伴う補てん率のデータにミスがあったことに対し、四病院団体協議会のトップたちが厚生労働省への強い不信感を露わにしています。経営が成り立つよう、補てん結果を検証する仕組み作りをはじめ、抜本的な見直しが求められています。 |
消費税率引き上げに伴う損失分の診療報酬による補てん状況に関する厚生労働省のデータに集計ミスがあった問題で、四病院団体協議会(四病協)の各団体のトップは25日の定例記者会見で、同省への強い不信感を表明した。全日本病院協会(全日病)の猪口雄二会長は、「税と診療報酬を一体化するのはもう無理じゃないか」と述べた。診療報酬調査専門組織の「医療機関等における消費税負担に関する分科会」が同日開いた会合で厚労省は、修正後のデータを示したが、四病協側は、その正確性を疑問視。こうしたデータを公表する際は、正確性を客観的に検証できるだけの透明性の確保を求めた。【齋藤栄子】
四病協、定例記者会見(東京都内)
猪口会長は、診療報酬による6月分の補てん収支を日本病院団体協議会(日病協)と共同で調査する方針を明らかにした。また、日本精神科病院協会(日精協)でも調査を行う。日精協の山崎學会長は、補てん不足分を厚労省は病院に返還すべきだとの考えを示した。
集計ミスがあったのは、2014年4月の消費税率引き上げに伴い、医療機関の負担を和らげるために行われた診療報酬による補てんの状況に関するデータ。厚労省によると、ナショナルデータベースからデータを取り出す際、複数月にまたがる出来高病院の入院日数を月ごとに重複してカウントしたため、病院の収入を実際よりも高く集計した。
診療報酬の上乗せ分から、増税に伴う負担額を差し引いた「補てん差額」は、病院の場合、修正前がプラス64.9万円、修正後はマイナス314.5万円だった。
全日病の猪口会長は、消費税率が5%から8%に引き上げられた14年4月以降、診療報酬改定が2回あり、補てん後にすぐ検証していればどちらかのタイミングで対応を修正できたはずだと指摘した。四病協がこの日開いた総合部会では、「診療報酬で(消費税率引き上げに伴う負担増を)取り繕うことはもう無理ではないか」という意見が出たという。
また、日本医療法人協会の伊藤伸一会長代行は、四病協と日病協に対し、14年4月の増税による影響を共同で調査するよう厚労省から依頼があり、15年4月に報告書を提出したことを明らかにした。
この調査は303病院が対象で、補てん率は84.2%だった。しかし、厚労省がその直後に公表したデータと大きく食い違うため公表を見合わせたという。伊藤氏は、「今になってみればじくじたる思いがある」と述べた。また、増税後の4年間での補てん不足が病院全体で1000億円を超える可能性を指摘した。
出典:医療介護CBニュース
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