メディカルサポネット 編集部からのコメント「抗認知症薬の総処方量の約半分は85歳以上による処方が占める」との分析結果が公表されました。医療経済研究機構は、認知症疾患診療ガイドラインを見直す必要があると指摘しています。薬物事象の発生リスクへの配慮が必要です。 |
抗認知症薬の総処方量のうち、約半分を85歳以上の高齢者による処方が占めるとの分析結果を、医療経済研究機構が公表した。同機構では、加齢に伴う薬物有害事象の発生リスクを考慮し、高齢者への慎重な投与を要望。関連学会の診療ガイドラインの見直しも求めている。【松村秀士】
同機構は、レセプト情報・特定健診等情報データベース (NDB) を活用し、2015年4月から16年3月にかけて抗認知症薬(ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチン)を処方された計173万3916人分のデータを分析した。
その結果、抗認知症薬の年間総処方量は、4億9809万8242DDD(1日維持用量の単位)だった。これを年齢階層別で見ると、最も多かったのは「85歳以上」で、総処方量の46.8%を占めた。次いで、「80―84歳」(27.8%)、「75―79歳」(15.2%)、「70―74歳」(6.3%)、「65―69歳」(2.6%)などと続き、年齢が高くなるにつれて処方量が増える傾向が見られた。
抗認知症薬の年間処方率も分析したところ、最多は「85歳以上」の17.0%。以下は、「80―84歳」が9.4%、「75―79歳」が4.2%、「70―74歳」が1.4%、「65―69歳」が0.5%などの順で、年齢が高くなるほど処方率が高い結果となった。
抗認知症薬の処方をめぐっては、日本神経学会の「認知症疾患診療ガイドライン」で、アルツハイマー型認知症に対する抗認知症薬の処方を強く推奨している。同機構は、このことが高齢者への処方に影響しているとみている。
その上で、加齢に伴う薬物事象の発生リスクの増大を踏まえると、抗認知症薬の処方を「弱い推奨とする」「強く推奨する年齢層を限定的にする」など、同ガイドラインを見直す必要があると指摘している。
出典:医療介護CBニュース
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